建設業の仕事を続けながら、冬は除雪を請け負ったり、農繁期に農作業を手伝ったりしていませんか。

一人親方として働いていると、取引先や地域のつながりから、普段の工事とは異なる仕事を頼まれることがあります。

その際に確認しておきたいのが、労災保険の補償範囲です。

建設業の一人親方労災に加入していても、新しく始めた仕事まで自動的に補償されるわけではありません。

この記事では、季節によって仕事が変わる方や、副業を始める方に向けて、仕事を引き受ける前に確認したいポイントを解説します。

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「同じ自分がする仕事」でも、労災保険の扱いは変わる

一人親方などが利用する労災保険の特別加入は、事業や作業の種類に応じて対象が定められています。

そのため、建設業の区分で加入していることと、個人事業主として行うすべての仕事が補償対象になることは別です。

例えば、内装工事を請け負っている方が、別の依頼で配送の仕事を始めた場合、配送中の事故まで建設業の特別加入で補償されるとは限りません。

確認するときは、次の3点を整理することが大切です。

  • 実際にどのような作業をするのか
  • 雇われて働くのか、独立して仕事を請け負うのか
  • その仕事に対応する特別加入をしているか

「本業ではない」「年に数日しか行わない」といった事情だけで、加入中の補償範囲に含まれるわけではありません。

季節の仕事で確認したい3つの場面

冬に駐車場や敷地の除雪を請け負う

建設業の取引先から、冬の間だけ駐車場の除雪を頼まれることがあります。

この場合、「建設会社から頼まれた仕事だから」「普段も重機を使っているから」という理由だけで、建設業の補償対象と判断することはできません。

工事に付随する作業なのか、除雪そのものを独立して請け負うのかなど、実際の業務内容を確認する必要があります。

相談する際は、次の情報を伝えましょう。

  • 工事現場、店舗の駐車場、個人宅など、作業する場所
  • 手作業、除雪機、車両など、使用する道具や機械
  • 除雪だけを請け負うのか、工事の一部として行うのか
  • 発注者は事業者なのか、一般の個人なのか

同じ「除雪」という呼び方でも、作業内容や契約によって確認すべき加入区分は変わります。

農繁期に田畑の作業を手伝う

田植えや収穫の時期に、農家から作業を頼まれる場合も注意が必要です。

農作業には、「特定農作業従事者」や「指定農業機械作業従事者」など、別の特別加入区分があります。ただし、すべての農作業が一律に加入対象になるわけではなく、それぞれ所定の要件があります。

また、農家に雇われて働く場合と、自分で農作業を請け負う場合でも、労災保険の考え方は異なります。

「手伝い」という言葉だけでは判断できないため、仕事内容に加え、報酬の受け取り方や指示を受ける関係も整理しておきましょう。

草刈りや敷地管理を頼まれる

取引先の敷地や空き地の草刈り、施設周辺の管理などを請け負う方もいるでしょう。

草刈りについても、建設工事の一部なのか、農林業に関係する作業なのか、独立した敷地管理の仕事なのかによって、確認する内容が変わります。

既存の特別加入区分に該当せず、企業等から業務委託を受けて行う仕事であれば、特定フリーランス事業の対象となる可能性があります。

一方で、一般の個人からのみ依頼を受けている場合は、別途、加入要件の確認が必要です。

作業名だけで補償の有無を決めず、「誰から、どのような仕事を、どのような形で受けるのか」を伝えることが重要です。

仕事を増やすときは、3つの働き方に分けて考える

1.勤務先に雇われて働く

工事が少ない時期に、倉庫や店舗などでアルバイトをするケースです。

労働者として雇われて働く仕事は、原則として勤務先の労災保険で扱います。建設業の一人親方として加入している労災保険とは、分けて考える必要があります。

なお、契約書に「業務委託」と記載されていても、実際には労働者と認められる場合があります。契約の名称だけで判断せず、指揮命令の有無など、働き方の実態を確認しましょう。

2.別の特別加入区分に当たる仕事を請け負う

建設業以外にも、個人貨物運送業や林業、ITフリーランスなどには、それぞれ特別加入の区分があります。

例えば、建設工事に加えて軽貨物配送を請け負う場合、両方の仕事の補償を希望するなら、それぞれに対応した加入を確認する必要があります。

「副業だから本業の保険で対応できる」と考えず、追加した仕事に対応する区分がないかを確認しましょう。

3.特定フリーランス事業に当たる仕事を請け負う

2024年11月から、企業等から業務委託を受けるフリーランスについて、特定フリーランス事業の特別加入が始まりました。

ただし、建設業や個人貨物運送業など、別の特別加入区分に該当する事業・作業は、その区分での加入が必要です。

特定フリーランス事業に加入すれば、建設工事を含むすべての仕事をまとめて補償できる、という制度ではありません。

また、一般の消費者から受ける仕事については、企業等から委託を受けて行う事業と同種かどうかが重要になります。

例えば、企業から研修講師の仕事を受けている方が、個人宅の草刈りも請け負っている場合、講師業の取引があることだけを理由に、草刈りまで対象になるわけではありません。

なお、現時点で企業等との取引がなくても、今後、業務委託を受ける意向や見込みがある場合は、加入対象となることがあります。

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加入団体へ相談するときに用意したい「仕事メモ」

「この仕事は補償されますか」と相談する際は、業種名に加えて、具体的な内容を伝えると確認が進めやすくなります。

次の項目を、仕事ごとにまとめてみましょう。

確認項目記載する内容の例
仕事内容店舗駐車場の除雪、空き地の草刈り
依頼主建設会社、管理会社、農家、一般の個人
契約・働き方雇用、請負、業務委託など
作業場所工事現場、田畑、店舗、個人宅など
使用するもの手工具、草刈機、除雪機、車両など
実施期間冬季のみ、月数回、通年など
現在の加入内容加入団体名、加入区分、加入期間

見積書や契約書、作業指示書などがあれば、仕事内容を説明する資料として準備しておくとよいでしょう。

特に、「設備関係」「現場の応援」「雑工」といった幅広い表現では、実際の作業が伝わらないことがあります。取り付け工事なのか、点検なのか、運搬なのかまで具体的に伝えてください。

よくある質問

Q
毎年冬だけ行う仕事でも確認が必要ですか?
A

はい。期間が短い仕事でも、現在の特別加入の対象に含まれるか確認が必要です。

毎年繰り返している仕事であっても、これまで事故がなかったことと、補償対象であることは別です。次の作業が始まる前に、加入内容を見直しておきましょう。

Q
同じ取引先から頼まれた仕事なら、加入し直さなくても大丈夫ですか?
A

取引先が同じでも、依頼された作業が変われば、労災保険上の扱いが変わる可能性があります。

例えば、普段の建設工事とは別に、配送や独立した施設管理業務を頼まれた場合は、追加の確認が必要です。

Q
加入団体へ仕事内容を伝えれば、その日から補償されますか?
A

仕事内容を伝えただけで、補償対象が広がるわけではありません。

別の区分での特別加入が必要になる場合もあるため、必要な手続きと補償開始日を確認してください。仕事を引き受けた段階で相談し、作業開始までに準備することが大切です。

Q
事故が起きてから加入区分を追加できますか?
A

新たに加入しても、加入前に発生した事故がさかのぼって補償されるわけではありません。

すでに事故が発生している場合は、当時の加入内容と実際の作業内容を加入団体へ伝え、対応を相談してください。労災保険給付の支給・不支給は、労働基準監督署が判断します。

季節の仕事が変わる前に、加入内容を確認しましょう

一人親方にとって、季節に応じて仕事を広げることは、収入を安定させる方法の一つです。

その一方で、新しい仕事を始めたときは、労災保険の補償範囲も確認する必要があります。

特に、除雪・農作業・草刈りなどは、作業名だけでは加入区分を判断しにくい場合があります。実際の仕事内容や契約、使用する機械などを整理して、作業前に加入団体へ相談しましょう。

東北労災一人親方部会では、建設業の一人親方の特別加入に関するご相談を受け付けています。

「現在の加入内容でよいのか分からない」「普段の工事とは異なる仕事を頼まれた」という方は、具体的な作業内容を添えてお問い合わせください。

東北労災へ相談・お問い合わせ

※この記事は制度の一般的な考え方を説明するものです。個別の加入可否や補償対象については、具体的な業務内容に基づく確認が必要です。

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