建設業で働く一人親方の皆さん、労災保険には加入していますか?
「現場に入る条件だから仕方なく」「元請けに言われたから」と加入した方も多いかもしれません。
しかし実際には、労災保険は単なる“入場パス”ではなく、あなた自身と家族の生活を守る「命綱」です。
もし加入していなければ、万一の事故で数百万~数千万円の負担を背負う可能性もあります。
この記事では、一人親方が労災保険に加入するメリットと、未加入で抱えるデメリットを比較しながら、建設業の現場で安心して働けるよう、労災保険を解説していきます。
目次
- 労災保険加入理由は大きく分けて三つ
- 未加入のデメリット① 医療費・治療費が全額自己負担になる
- 未加入のデメリット② 休業中の収入がゼロになる
- 未加入のデメリット③ 元請けや依頼主からの信用を失う
- 加入のメリット① 自分と家族を守れる経済的な安心
- 加入のメリット② 安心して現場に立てる
- 加入のメリット③ 元請け・お客様から信頼される
- 実際のトラブル事例
- まとめ
労災保険加入理由は大きく分けて三つ
今や元請けや仕事仲間にも特別加入の労災保険への加入を求められる時代。それには大きな理由があります。確かに法律「労働安全衛生法の改正」や「フリーランス法」の設立なども理由ですが、その他にも大きな理由があります。
1.自分や家族を経済的リスクから守るため
2.安心して治療や療養に専念するため
3.元請けや仕事仲間やお客様などを守るため
会社員などの「雇用されている者」は、社会保険強制加入ですから、様々なリスクから国と会社がか守ってくれています。
業務を遂行中のケガや事後からは当然のこと、休業の補償も手厚くしてくれます。
それと比較して、一人親方やフリーランス、自営業者や個人事業主は、誰も守ってくれません。
強制加入の社会保険制度(国民健康保険や国民年金保険)はあっても、労働上の補償は「任意加入」のため、自分のことは自分で守る、もしくは自分から「特別加入の労災保険」へ加入選択して、守ってもらえるようにしなければなりません。
「現場で事故が起き、入院と手術があり、仕事ができない」
特別加入の労災保険に入っていなければ、治療費は100%自己負担となります。
なぜなら、仕事中のケガなどの治療には。国民健康保険は一切使うことができないからです。
特別加入の労災保険に入っていれば、業務災害における「治療費・手術・入院」そして「「仕事ができないときの収入補償」をすることができます。
業務災害が起きてから加入しようとしても、その時の業務災害においては、一切補償はしてくれません。あくまで加入している状態での「業務災害における補償」です。
最近では、労災保険加入の有無を聞かれ、加入していない場合は、労災保険へ加入することが求められるのも、一人親方も元請けも経済的リスクからの回避ができるからです。
未加入のデメリット① 医療費・治療費が全額自己負担になる
建設現場での事故は予期せぬタイミングで起こります。
- 足場からの転落で骨折
- 重い資材の下敷き
- 電動工具での切創
- 長時間労働による心疾患
こうした事故に遭った場合、労災保険に未加入だと医療費はすべて自己負担。
入院・手術・リハビリとなれば、数百万円単位の出費になることも珍しくありません。
一方で、労災保険に加入していれば、治療費は自己負担ゼロ。国が全額を負担してくれるため、安心して治療に専念できます。
未加入のデメリット② 休業中の収入がゼロになる
事故によって1ヶ月、3ヶ月、あるいは半年以上も現場に出られなくなるケースもあります。
労災保険へ加入していなければ、その間の収入は完全にゼロ。
住宅ローンや生活費、子どもの教育費など、日常の支出は待ってくれません。
逆に労災保険に加入していれば、休業補償給付(給付基礎日額の約80%)が支給され、生活を大きく支えてくれます。
「治療費はゼロ、生活費もカバー」されることで、精神的にも安心して療養できます。
未加入のデメリット③ 元請けや依頼主からの信用を失う
建設現場では、元請けが下請けや一人親方に「労災保険加入の有無」を確認するのが当たり前になっています。
もし未加入だと、次のようなリスクがあります。
- 現場への入場を断られる
- 契約解除の可能性
- 事故時、元請けや依頼主に責任が及ぶ
つまり、未加入の一人親方は「危険人物」として敬遠されやすいのです。
反対に、労災保険に加入しているだけで「安全意識が高い」「責任感のある職人」として評価され、仕事の依頼も増えやすくなります。
加入のメリット① 自分と家族を守れる経済的な安心
労災保険に加入していれば、ケガをしても自己負担ゼロで治療が可能。
さらに休業補償や障害補償、万一のときの遺族補償まで備わっています。
これは「現場に立つ本人」だけでなく、「生活を支える家族」にとっても大きな安心です。
一家の大黒柱である一人親方にとって、労災保険は家族を守る保険でもあるのです。
加入のメリット② 安心して現場に立てる
事故が起きても「治療費は国が負担」「休業中も補償あり」とわかっていれば、余計な不安を抱えずに仕事に集中できます。
「もし倒れたらどうしよう」と常に心配しながら働くのと、「いざという時は保障がある」と思いながら働くのとでは、日々の精神的な負担が全く違います。
加入のメリット③ 元請け・お客様から信頼される
労災保険に加入していることは、信用力アップにも直結します。
- 「この人はきちんとリスク管理している」
- 「責任感がある職人だ」
- 「万一事故があってもトラブルにならない」
こうした評価が積み重なり、結果的に次の仕事にもつながります。
つまり、労災保険は自己の営業ツールにもなるのです。
実際のトラブル事例
事例① 未加入で事故 → 数百万円の自己負担
ある一人親方が高所から転落し、手術と半年の入院を余儀なくされました。
労災保険に未加入だったため、医療費・生活費を合わせて600万円以上を自己負担。
結局、借金を背負うことになりました。
事例② 未加入が原因で仕事を失う
別の一人親方は、未加入のまま現場に入り事故を起こし、元請けに迷惑をかけました。
その後、取引を打ち切られ、長年の信頼も収入も一度に失いました。
これらの事例からも、未加入のリスクは「お金」だけでなく「信用」まで失うことがわかります。
まとめ
ここまで見てきたように、労災保険には次のような特徴があります。
- 未加入のデメリット
- 医療費が全額自己負担
- 休業中の収入がゼロ
- 元請け・依頼主から信用を失う
- 加入のメリット
- 治療費は自己負担ゼロ
- 休業補償で生活を支えられる
- 信用が増し、仕事が安定する
労災保険は、建設現場で働く一人親方にとって、命を守り、生活を守り、仕事を守る三本柱です。
まだ加入していない方は、今すぐにでも検討を始めてください。

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加入や脱退においては「特別加入承認団体」を通じ申請します。
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副理事 労災保険コンサルタント
大学卒業の後、XEROX(現富士フィルムビジネスイノベーション)へ入社。新規開拓営業として活動する。38歳の時に人生一度切りとの思いから起業し独立。IT、建設、金融、海事から伝統工芸など多種多様な事業展開。SNSが広まる前から興味を持ち、各業界、特に士業関係からセミナー依頼を多数受ける。現在は政府から承認を受け、特別加入団体を立ち上げ労災関連の相談から事務処理業務全般を行っている。
特技は山菜や木の実を見つけること。アケビは大好物。キノコは好きだが、なぜか椎茸は未だに食べられないのが悩み。
里山に入り山菜取りに夢中になりすぎて遭難しかけ、警察沙汰になったことも。釣り好き花好き動物好き。お酒は少々楽しむ程度。
一人親方は法的には労働者ではないため、労災保険に加入できません。
特別に加入できるようにした制度が特別加入の労災保険。労働者ではない一人親方を、労働災害から守る唯一の手段であることを広めていきたいと思っています。