仕事中や通勤中のケガ・病気で「働けなくなる」こと、その不安を一人親方として抱えたことはありませんか?
雇用されている人なら、制度を通じて補償を受けられるケースもありますが、独立して働くあなたにはそのまま収入がゼロになるリスクがあります。
本記事では、 労災保険 における 「休業補償給付」「休業特別支給金」 の制度を、一人親方の視点でわかりやすく整理します。加入条件、給付額の計算、申請の流れ、そして活用時のポイントまで。万が一に備え、知っておきたい制度の全体像を一緒に確認しましょう。

目次

休業(補償)給付ってなに?

制度の概要

休業(補償)給付は、業務災害や通勤災害によって働けなくなったときに、収入途絶(収入が一切入ってこないこと)を支えるための制度です。
一般の労働者のみならず、特別加入をしている一人親方も対象となります。

対象となる人・条件

  • 業務中または通勤中のケガ・病気であること。(業務遂行を起因とするもの)
  • 医師の診断で「就労できない状態」と認められること。
  • 実際に賃金の支払いがない状態であること。

一人親方が知っておくべきポイント

会社勤めの方とは異なり、一人親方は自ら特別加入制度の労災保険への加入をする必要があります。また、この制度には「基礎日額給付」が、日額給付3,500円型から25,000円型まで用意されており、加入する際には自ら選択しなければなりません。
もちろんのこと、加入していないと給付を受けられません。

一人親方

仕事を休んでいる間は、収入が途絶えるだけじゃなく医療費もかかって、どうしていいか不安です。

東北労災

はい。一人親方は企業で言えば経営者に相当する立場です。そのため、雇用されている従業員とは異なり、労働環境や安全面について自ら管理・対応する責任があります。

一人親方

一人親方って結局、全部自分で自分のことを背負わなきゃいけないから大変なんですね……

西日本労災

お気持ち、とてもよくわかります。
では、会社員と同じように
時間で拘束され、与えられた指示のもとに働く。
自分の実力や努力が直接報酬に反映されるわけではない。
同僚で自分より少ない業務量でも、同じ給料であることや、定年後に再就職を考えなければならないことなど…..
特に不満を感じないのであれば、会社勤めを選ぶのも一つの手でしょう。

一人親方

そうですよね。
そういうのは自分に合わないから、今の仕事のやり方にしたの思い出しました。
自分の力量で稼ぎたいし、時間に縛られてたり誰かの指示通りに働くのは性に合わないんです。
やっぱり自分のスタイルで仕事をしていきたいんです。

西日本労災

そうだったんですね。
確かに、会社員の方は会社に守られていますし、政府にも守られていますから、ある意味安心です。
社会保険料も会社が按分で払ってくれますし、会社を辞めても雇用保険で生活もできるし、休業補償もあります。
また、たくさんある事務仕事は、会社がほとんどしてくれます。
その代わり、仕事は時間拘束され、上司や会社の指示指揮下にあるので、「自由」はなくなります。

一人親方

でも….
政府だって、一人親方に対してもうちょっと寄り添ってくれてもいいんじゃないのかな?
法律上は「労働者ではない」と言われても、現実は働かないと生活できませんから。

西日本労災

実は、政府は守ってくれていないのではなく、どう守るかは各自の判断に任されているだけなんです。
会社員は社会保険への保険加入が強制でなので、「自分の意志に関係なく加入」しなければなりません。
一方、一人親方は
・健康保険ではなく、国健康保険や組合国保など選択する(強制加入)
・厚生年金ではなく国民年金や年金基金など選択する(強制加入)
・雇用保険は、雇用されていないのでそもそも加入できない
・労災保険は、任意加入なので自分で決める
特に労災保険のみ「自分の意志で加入」するかどうかを選択できます。
ここでも、社長と同様に「自ら考え、判断する」ことが求められます。
政府のサポート体制はすでに整っているんです。

一人親方

そうだったんですね。
自分で選ぶ自由があるからこそ、自分の意志で決めなきゃいけないんですね。
誰かに縛られるのが嫌で、一人親方の働き方を選んだんですから、自分なんですよね。

西日本労災

その通りなんです。
指揮命令下で働くことに抵抗がなく、時間に縛られることに負担を感じなければ雇用される形も選択肢の一つです。
そうした働き方に違和感があるなら
一人親方の方が向いているかもしれません。
どちらかが良い悪いということではなく、自分に合った働き方を選ぶのが大切です。

女性事務員_笑顔

会社員さんは会社員さんで、大変苦労なさっているかとは思います。
ここで、会社を辞め、一人親方(事業主)になった方のよくある話をご紹介します。

・会社を辞めて、一年後に社会保険料が100%請求されびっくり
・仕事がそこにある安心さは計り知れない
・毎月きちんと給与が支給されることの有難さ
・仕事をこなす上で、こんなにも事務処理が多いとは知らなかった
・労災保険はどうせ使えないと思っていた
・こんなにも責任が重いとはびっくりした

一人親方は代表者です。つまり社長と同じです。
働き方の自由の代わりに、責任はすべて自分です。
ただ、自分の力量で稼ぐことに対しても制限がありませんよね。
やりがいはあるかと思います。

休業補償給付の詳細

待期期間(免責期間)と支給開始日

給付開始は休業初日から数えて 4日目以降 になります(休業3日間は待期扱い)。

適用条件を再確認

次の3つすべてに該当する場合、給付を受けることができます。

•労働中または通勤中に、業務を起因として発生した災害によるものであること

•治療の必要があり、業務に従事できない状態であること(医師による診断)

•実際に元方などから賃金の支払いが行われていないこと(就労していない状態)

忘れてならないのは、「仕事ができない状態」かどうかを決めるのは、誰なのかという点です。

それは、特別加入の承認を受けた当団体のような機関でも、所轄の労働基準監督署や厚生労働省労働局といった行政機関でもありません。
もちろん、一人親方自身が自ら就労不能を証明することは不可能です。

就労不可能と判断するのは「医師免許を有する医師」です。

医師とは、国家によって認定された医師免許を所持している人を指します。
本人が働けないと感じていても、医師の診断で就労可能とされれば、「働ける状態」と判断されます。

では、労働基準監督署や労働局の役割は何でしょうか?
特別加入承認団体が用意した「休業補償用の書類」に医師が休業が必要だと認めて署名した場合、その内容を確認し、必要かどうかを判断します。

たとえ医師が「就労不能」と判断しても、労働基準監督署や労働局が調査の結果「就労可能」と認めた場合には、その医師の判断が覆される可能性があります。

厳しいと感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際に「不正行為」が確認されていることも事実です。

一人親方の皆様が支払っている保険料は、実質的には労災保険料という名の「公的なお金」です。
ですから、皆様が公平に負担しあっている大切なお金が不正に使用されるようなことがあってはなりません。

さて

話を戻しますと、この休業給付制度とは「仕事ができなくなったときに、国が一定の収入を補償してくれる」という仕組みなのです。

休業補償給付の詳細

休業(補償)給付は、休業の初日から数えて3日間の待期期間(免責期間)が経過した後に支給が開始されます。
そのため、休業の4日目からが給付の対象期間となります。

給付額はご加入の際に決めた「基礎日額」をもとに、1日あたりその60%の金額が支払われる仕組みです。

(例)給付基礎日額3,500円型での加入の場合

3,500円×60%=2,100円/日
30日休業
30日−3日=27日(休業期間)
支給額計算
2,100円×27日=56,700円支給

この手順で計算します。

休業特別支給金の詳細

休業補償給付と同様に、ご加入の際に決めた「基礎日額」をもとに、休業開始から4日目以降、1日あたり給付基礎日額の20%に相当する金額が支払われます。

これについても、就労不能と判断された場合に支給されます。

(例)給付基礎日額3,500円型での加入の場合

3,500円×20%=700円/日
30日休業
30日−3日=27日(休業期間)
700円×27日=18,900円支給

この手順で計算します。

支給総額

休業(補償)給付は、通常、保険給付と休業特別支給金の二つの支給を含みます。そのため、これらを踏まえて上記の金額を参考に計算することになります。

56,700円+18,900円=75,600円(27日分)
となります。

簡易的な計算方法として
•休業補償給付が基礎日額の60%
•休業特別支給金が基礎日額の20%

この2つを合計すると基礎日額の80%が支給されます。

第1回目の休業(補償)給付計算

基礎日額×80%×(休業日数-3日)

第2回目からの給付計算

基礎日額×80%×(休業日数)

休業補償給付金は「非課税」の扱いとなるため、確定申告で収入や所得に含める必要はありません。
第1回目と第2回目に分けて申請を行っていただくのは、加入者ご本人からの休業補償給付の申請がなければ、特別加入承認団体としては実際に休業していた「日数」を確認するのが難しいためです。

第一に重要なのは、休業の申請を忘れずに行うことです。また、休業に関する「締日」はしっかりと把握しておくことが重要です。
例としては、締日を毎月末、2カ月ごと、または3カ月ごとの末日に設定する方法があります。

申請はご本人の意思で自由に行えますので、ご自身で締日を選択し、申請手続きを行ってください。
将来の日程(たとえば1カ月後の入院など)についての申請はお受けできませんのでご了承ください。

注意点・受給を断られないために

給付を受けるには必ず「医師による就労不能の診断」が必須です。
本人の自覚だけでは休業給付を受けることができません。
また、制度悪用を防ぐ観点から、行政機関による確認もあります。

一人親方のためにある「特別加入制度の労災保険」

一人親方は労働基準法上は「労働者」ではないため、労災保険制度の対象外となります。
この特別加入によって、初めて労災補償の対象となるため、未加入の場合は収入が途絶えるリスクがあり、すべて自己責任で対応しなければなりません。

申請前に確認すべきチェック

  • 加入している「保険」は、民間のものか公的なものか
  • 公的な保険の「特別加入の労災保険」に加入しているか
  • 医師の「就労不能」診断が出ているか
  • 賃金支払いが行われていない状態か
  • 休業初日~待期期間を確認済か
  • 所定の申請書類・締め日を遵守しているか

休業(補償)給付に関するまとめ

会社の社長と同様に一人親方も政府の補償制度の対象外です。
会社員と違い
労災保険料を会社が支払ってくれたり、業務中のケガで休んだときに「休業補償」がもらえたり、その手続きを会社がやってくれるわけではありません。

一人親方にとっては、常に情報収集を怠らず、使える制度は積極的に活用していくことが重要です。

特に、生活の支えとなる制度については、より一層意識を向けるべきです。
特別加入の労災保険は、政府が提供する制度であり、一人親方にも認められた正当な「権利」です。

ぜひこの制度を活用し、万が一の際には国からの補償をしっかりと受け取りましょう。

東北労災写真

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加入や脱退においては「特別加入承認団体」を通じ申請します。
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特に、労災事故が発生したら、加入している団体や組合にすみやかに労災事故報告を行いましょう。
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