業務災害として認定(労災認定)を判断するのは、管轄の「労働基準監督署」です。
一人親方本人や医者、または加入先の承認団体が労災認定をするわけではありません。
また、労災保険の補償給付も、管轄の労働基準監督署が判断し、労働局が認定します。
目次
- 業務災害かを自己判断できる簡単な方法
- 仕事には必ず「元請け」がいる
- 工事には必ず工事名(現場名)がある
- 業務災害の証明者がいる
- 第三者がいた場合
- 仕事仲間の不本意な災害
- 加入前に疾病を既に発症し、被災原因だった場合
- 自己判断はなるべく避けご相談ください
業務災害かを自己判断できる簡単な方法
労災保険は、労働者を守る公営保険です。民間保険ではありません。また、保険を運営しているのは「厚生労働省」ですから、民間保険のように運営している会社が違うということもありません。
一人親方の労災保険も通称で、本来は「特別加入制度の労災保険」と表します。
労災保険は、本来、労働者の業務または通勤による災害に対して保険給付を行う制度ですが、労働者以外でも、その業務の実情、災害の発生状況などからみて、特に労働者に準じて保護することが適当であると認められる一定の方には特別には特別に任意加入を認めています。これが、特別加入制度です。
厚生労働省 特別加入制度のしおり<一人親方その他の自営業者用>
仕事中のケガが業務災害に当たるかどうかを自分で判断することもある程度は可能ですので、ご説明していきます。
仕事には必ず「元請け」がいる
これが一番簡単な判断材料です。
労働の定義として法律では、以下のように定められています。
労働基準法定義(労働基準法第9条)
職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者労働組合法定義(労働組合法第3条)
厚生労働省 労働者について
職業の種類を問わず、賃金、給料、その他これに準ずる収入によって生活する者
つまり、賃金を支払われる者、もしくは給与やその他これに準ずる収入で生活をする方を「労働者・労働者性」と呼びます。
つまり、使用する者から仕事を依頼されて、その指揮下において労働をし、その対価として賃金を支払われる方のことです。一人親方は、使用する者に束縛されるものがありません。ですから一人親方なのですが、ここからが重要です。
- 「自分の家を自分でやっていた」
- 「親戚個人から直接依頼を受けた」
- 「友人から頼まれた」
- 「家族に頼まれた」等々
これらは、使用する者とは言えないと言うことです。
元請け(仕事を依頼する側)が(○○建設株式会社・有限会社や合資・合同会社・屋号のついた個人事業主など)一人親方へ仕事を依頼し、一人親方が依頼された仕事を受託して、初めて仕事が成立します。
つまり、元請けがないものは仕事として判断されないため、業務災害として認められないケースがあります。
工事には必ず工事名(現場名)がある
工事現場には必ず名称がつきます。
例えば、〇〇様邸戸建て新築工事、〇〇会社事務所新築工事、〇〇道路工事などです。
仮称であったりしますが、仕事として稼働するには「工事名・工事現場名」が必要となります。
例えば
友人の家の簡単なリフォームを頼まれた。
これは、工事現場名も何もないですから、仕事とは認められないケースです。
しかしながら、見積書や請求書、領収書等の取引があり、完成高の支払いがある場合は「仕事」として認められる場合もありますので、それらすべての書類は必ず残しておいてください。
業務災害の証明者がいる
自分で業務災害だといっても、その災害に対しては「証明する者」が必要です。
これは、仕事中のケガかどうかを「第三者が証明」することになります。
ただし、戸建て住宅など、一人親方が一人で工事を行う場合も実際にはあります。
一人で工事を行っていて、万が一災害が起きた場合には、当団体へご一報ください。
第三者がいた場合
工事現場、または通勤中に「第三者」の故意もしくは不行為であって、災害が起きた場合は、「第三者行為災害」となり、被災者の一人親方は労災保険が使用できますが、支払いした金額は、労働基準監督署経由の厚生労働省労働局から第三者へ請求されます。
特に飲酒による事故や喧嘩など、必然性制のある行為においては、双方に原因があるとされ、業務災害と認められません。
仕事仲間の不本意な災害
同じ現場内での車による事故や、仕事仲間から受けた事故などは、仲間だからといって「警察」を呼ばないことがあります。
これは、警察を呼ばないことから、車であれば「事故証明証がない」、相手からの故意による被災においても「証明するものがない」となり、第三者行為災害として労災保険が使えなくなります。
仲間同士で同じ現場内であっても、その時は必ず警察を呼び、証明をしてください。
第三者の行為で多いのは「移動中の事故」です。
こちらも、相手の車との過失割合にもよりますので、必ずご連絡をお願いいたします。
加入前に疾病を既に発症し、被災原因だった場合
こちらは主に「疾病」病気の話になります。
一人親方は、会社員(雇用される者)と違って、自分が主となり、病気の発症を抑えることができると考えられています。
その理由として、嫌な仕事、もしくは病気になりそうだと自分で判断し、仕事を断ることが出来るという理由からです。
仕事を要因としての疾病においては、その要因を明らかにしないといけません。
労災保険へ加入する前に、例えばすでに腰を痛めていて「業務中に腰を痛めた」としても、業務災害とは認められませんのでご注意ください。
自己判断はなるべく避けご相談ください
元請け業者が居ない場合を除いて、業務災害かどうか判断できない場合は、必ずご連絡ください。
ご相談には親身になってお答えいたしますのでご安心ください。
また、業務災害が起こってしまったら、下記をクリックして必ずご報告ください。
労災事故報告はこちらhttps://tohoku631.com/accident/

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加入や脱退においては「特別加入承認団体」を通じ申請します。
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副理事 労災保険コンサルタント
大学卒業の後、XEROX(現富士フィルムビジネスイノベーション)へ入社。新規開拓営業として活動する。38歳の時に人生一度切りとの思いから起業し独立。IT、建設、金融、海事から伝統工芸など多種多様な事業展開。SNSが広まる前から興味を持ち、各業界、特に士業関係からセミナー依頼を多数受ける。現在は政府から承認を受け、特別加入団体を立ち上げ労災関連の相談から事務処理業務全般を行っている。
特技は山菜や木の実を見つけること。アケビは大好物。キノコは好きだが、なぜか椎茸は未だに食べられないのが悩み。
里山に入り山菜取りに夢中になりすぎて遭難しかけ、警察沙汰になったことも。釣り好き花好き動物好き。お酒は少々楽しむ程度。
一人親方は法的には労働者ではないため、労災保険に加入できません。
特別に加入できるようにした制度が特別加入の労災保険。労働者ではない一人親方を、労働災害から守る唯一の手段であることを広めていきたいと思っています。